世界選手権で尾崎好美さんが銀メダルを得たことに喜んでいます。今大会の日本選手初のメダルですね。
コースのほとんどでは、余力を残して走り、ゴール前では、すべての選手が疲労と戦い、これに耐えたランナーがメダルを得たことが今回も放映されました。
では、疲労は、ランナーにとって悪者なのでしょうか。
疲労が生じなければ、体調が気づかないうちに崩れており、急に走れなくなるようです。疲労は体調の限界を示す優れた信号であり、悪ではなく、評価を変える必要がありそうです。疲労に耐えれたということは、それだけトレーニングできていたということではないでしょうか。
マラソンは、グリコーゲンなどのエネルギー貯蔵庫から得られたグルコースなどを利用してATPを産生しながら、そのエネルギーによって筋肉の運動を行うものですが、このためには脳、神経系、心臓、循環器系、呼吸器系などの各種器官を高度に働かせる必要があり、脳はこれらからの信号やホルモンの生成信号などを敏感に検出して疲労として感ずるのではないでしょうか。
更に、マラソンの際には、有酸素状態でのジョギングだけにとどまらず、乳酸を生じる無酸素運動も伴うので、疲労の原因は多数になるようです。
乳酸については、疲労物質であるとの説と疲労物質ではないらしいとの説の両方があり、問題が残っているようです。
乳酸は、肝臓において糖新生の原料となり得るし、遅筋繊維で再利用もされるので、決して無用の疲労物質ではないようです。乳酸は老廃物のような扱いを受けていたことには再考慮されるべきようです。
しかし、乳酸は、エネルギー源であり、疲労回復用物質かもしれないのですが、過度の運動が行われている場合に、疲労を回復するために多量に生ずるのであれば、疲労に関連した物質と言えるようです。
乳酸は、グルコース代謝の途中のピルビン酸から酸素が十分でない場合に生じますが、この際に得られるATPはわずかです。
これに対して酸素が十分の場合には、ピルビン酸からアセチルCoAを経てミトコンドリア内のクエン酸回路に入れば、多量のATPが得られるので、乳酸生成よりも遥かに効率の良い手段です。
乳酸は、エネルギー源であるとしても、ピルビン酸から一旦、乳酸を形成し、さらに乳酸を速筋線維から遅筋線維へ移送して、ピルビン酸に戻し、クエン酸回路で糖代謝を終了させるという説では、エネルギー的に無駄なことを行っているようです。
乳酸は、速筋線維を使用して短時間で過度!の運動を行うときには、クエン酸回路で糖代謝する余裕がないので、止むを得ず、形成されるようですが、効率の悪い例外的な手段のようです。
マラソンの場合には、主として遅筋線維を使用して有酸素状態で行われているので、余裕をもって走れ、乳酸は多量には生じないようです。
乳酸は、有用なエネルギー源であるという考えは、妥当ですが、有用な乳酸でも多量に産生することは、運動の疲労物質となり得るので、これを回避しようとする考えが妥当でのようです。定量的に考慮すべき問題ではないでしょうか。
現在は、マラソンの際の過度の運動で生じる乳酸の生成について、十分な研究がなされていないようであり、さらに研究がされることを期待しています。
乳酸はエネルギー源であるとしても、一時的に多量に生成することの良否、存否が検討されるべきものと思っています。
乳酸の発生する急激な運動は、主として最後のゴール前では必要不可欠のものですが、それまではできるだけ、余裕を持って有酸素運動ができるように、予めトレーニングして置くことが重要なのではないでしょうか。ランナーは、このトレーニングを行っていますが、世界のランナーを相手にできるようなトレーニングは大変なことだと思います。M